アタッチメント・ペアレンティング・インターナショナル
アメリカの子育て支援NPOアタッチメント・ペアレンティング・インターナショナルは、共にラ・レーチェリーグのリーダーとして活動してきた
バーバラ・ニコルソンさん(現・理事長:アタッチメント・サイクル)と
リサ・パーカーさん(現・事務局長: 沖縄から学んだこと)の二人が、
自分たちの子育ての経験から、幼い頃にきちんと親子の絆・信頼関係をしっかりと育むことが、よりよい社会をつくる一番の近道だと考え、1994年に、
地元ナッシュビルに設立した。設立前後の数年間は、二人で、そうした彼女たちの考えを裏付ける研究結果を探し、全米の専門家たちを訪ねたという。
●現在は、アタッチメント・ペアレンティングについての情報提供、両親のためのサポート・グループの運営(アメリカと海外に、約80のグループがある)、
そして専門家とのネットワーキングの3つを活動の柱としている。
●リーダー役のお母さんたちが、ボランティアとしてゥ宅で月に一回程、サポート・グループの例会を開いている。例会では、リーダーからの情報提供はもちろんのこと、
参加メが互いの子育て中の悩みを語り合い、聞き合うことが基本となっている。APIでは、昨年から、リーダーへの研修を充タさせようと様々な試みを行っており、
年に2回、2地域でリーダー研修を行っている。自然育児友の会でも、今後、リーダー研修制度に取り組んでいく際に、参考にさせていただく予定。
●会をサポートする専門家には、日本でもおなじみのシアーズ博士夫妻他、アメリカの著名な小児科医、児童精神科医、心理療法家の名前がずらりと並んでいる。
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アタッチメント・サイクル
親から子へとめぐる―― アタッチメント・サイクル Attachment Cycle バーバラ・ニコルソン(API理事長)
生まれたてのころの自分が、親とどういうアタッチメント(愛着関係)を育んだのかを知ることで、成人してからの自分の人間関係、とりわけ結婚相手との関係について、いろいろなことがわかってきます。それだけではありません。いまわたしたちが必死になって築こうとしている子どもとの関係が、彼らが将来成人したときに育む人間関係の確固たる土台をつくりあげる、ということまで見えてきます。
この「アタッチメントのサイクル」を世に紹介したふたりの人物は、成人後の人間関係パターンと、生まれてすぐに育まれた人間関係――つまり赤ちゃんと親との関係がつながっていることを発見しました。
1995年に発行されたChild誌のなかで、『あなたのお子さんは、愛する幸せを得られますか?』という論文を掲載したロバート・カレン博士は、臨床心理学メでもあり、『Becoming
Attached』(ワーナー・ブックス1994年刊)の著メでもあります。彼は、子どもが将来、愛する幸せを得られるかどうかは、アタッチメントの理論にかかっていると主張しています。
「いまや専門家も、赤ん坊と母親(あるいは父親かその他のおもな世話人)のあいだに育まれる『安定したアタッチメント』が、子どもの心理学的発達に重大な役割を担い、温かく、迅速で頼りになる反応が、将来子どもが愛する幸せを得られるかどうかを左右することを知っている」。
では、「安定したアタッチメント」とはどういうものでしょうか? 子どもにとっては、自分の要望は、いつも変わらず、迅速に、そして愛情たっぷりに満たされる、と安心していられることです。自分は愛されているし、態度がよかったからとか、ほかの条件が揃ったから褒められているのではなく、ありのままの自分が認められている、と認ッすることです。
たいていの家庭では、生まれてから数年のあいだ、おもにアタッチンメントを育む相手はお母さんですが、お父さんはお父さんで、大切な役割を担っています。母親と父親の両方と強いアタッチメントを育んだ子どもは、成人すると、感情的に豊かな人間関係を築きます。お父さんは男の子にとってはお手本で、女の子にとっては純粋な意味での初恋相手となります。お父さんは、子どもが社会に飛びだすときの最初の踏み台であり、お父さんとお母さんの関係は、その子が将来配偶者を選ぶときの基準となります。
カレンの論文によれば、しっかりとしたアタッチメントを育んできた子どもは、成人したとき、「恋愛の相手により深い愛情と信頼を抱き、心を開く傾向にある。人に頼ることにも、自分が頼られることにも、抵抗を感じない。プラスの感情も、マイナスの感情も、たっぷり持ち合わせている」といいます。
教育学が専門のスーザン・ジョンソン博士も、1994年、Psychology
today誌の3・4月合併号に、このテーマについての論文を掲載しています。題して、『愛情――接触を求める不変の切望』。セラピストとしての経験から、彼女はこう考えるようになりました。
「アタッチメントは、成人後の恋愛を見通す最適のレンズである……アタッチメントの理論をもとに、人間関係をどこでどうしくじるのか、そのときどうしたらいいのかを見通すことができる」。
彼女によれば、成人後の人間関係が必要とするものは、子ども時代に必要としていたものとさほど変わらないのだといいます。こちらの目をしっかり見つめてほしい、ふれてほしい、愛撫してほしい、抱きしめてほしい――恋人に求めるそうした安心感とやすらぎを、わたしたちは親にも求めていたのです。
彼女はこう説明します。「人間の個性は、他者とかかわり合いながら発展していく。自分の内部から自然にわき起こってくるものではない。アタッチメントを得るには、人間として他者に依存することが不可欠だ。自給自足などというものは、ありえない」。彼女はさらに、ジョン・ウェインのような、他人の助けをいっさい必要としない無口な人物像は、想像の産物でしかない、と警告します。親密にふれ合いたいと思えば、無防備でいること、そして心を閉ざしてしまう前に自分から手を差しだすことが必要条件なのです。ところが不満だらけの結婚生活では、その逆のことが起きています。手を差しだす前に、心を閉ざしてしまっているのですから。
いま紹介したふたりとも、最後は希望観測的な意見で結んでいます。たとえ親と最高の関係を築けなかったとしても、過去をくり返すとはかぎらないのです。わたしたちは、新しい経験を重ねながら、大人としての安定した人間関係を築き上げ、成長し、変わることができるのです。たいていの人がお気づきでしょうが、自分自身の子育てが大きな癒しとなるおかげで、染みついた過去のパターンを変えることができます。アタッチメント・ペアレンティングが、配偶者との関係を驚くほど深めてくれることもしょっちゅうです。長い目で見れば、アタッチメント・ペアレンティングから得られるものは大きい――それがわかれば、ときおりちょっとした障害にぶち当たっても、夫婦で乗り越えよう、と意欲がわいてきます。愛と理解だけでなく、逆境と困難を分かち合うことで、夫婦として成長することができるのですから。
バーバラ・ニコルソン: アタッチメント・ペアレンティング・インターナショナル理事長 Barbara Nicholson, M.Ed. : API Founder
& President, Board of Directors
1994年に、リサ・パーカーとともに、APIを設立。ラ・レーチェ・リーグのボランティアとして、20年以上、母乳育児のサポートグループのリーダーをつとめている。テキサス州で特殊教育の教師として勤務したのち、4人の息子を育てた。
Barbara Nicholson holds a masters degree in Education and is President of the
Board of Directors for API, which she co-founded with Lysa Parker in 1994.
Nicholson makes frequent presentations about the effects of parenting on
societal violence. Nicholson has extensive experience as a support group
facilitator, special education teacher and mother. She has served as a volunteer
with La Leche League for more than twenty years, where she facilitates support
groups for breastfeeding mothers. Nicholson has a masters degree in education
and was a special education teacher in Texas. She is the mother of four sons.
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沖縄から学んだこと
沖縄から学んだこと The Lesson of Okinawa
リサ・パーカー(API事務局長) 1946年、『沖縄の人々(The
Okinawan)』という教育映画が全国的な注目を浴びました。小児科医をはじめとする多くの専門家や学生たちがこの映画を鑑賞しています。製作されたのは第二次世界大戦中で、アメリカの軍医として沖縄に派遣されていたジェームズ・C・マロニー中佐とJ・J・キャミサ中佐による作品です。
舞台は第二次大戦中の沖縄島。マロニーと、その上官J・J・キャミサは、沖縄の人々の窮易な精神力に目を見はりました。「沖縄島では、精神を病む市民はめったに見かけない」ことに、マロニーは気づいたのです。
「戦前、この島には精神病院もなければ、精神科医もいませんでした。人口が40万にも達しようという島なのに。西欧諸国では、病院の総ベッド数の5割以上が精神病患者に占められています。それにくらべて、沖縄島で見かけた精神病患者の数は、考えられないほど少なかったのです。これほど激しい爆撃を受けて、家や作物をクい、一家を皆殺しにされながらも、精神的に安定しているという事タには、驚くばかりでした」
この現象にたいするマロニーの解゚が、映画のテーマでした。
「……その理由は、もしかするとこういうことなのではないかと思います。まず第一に、沖縄の人たちが生まれつきアメリカ人より健康だとは考えられません……というより、この精神的な強さは、沖縄のすばらしい子育てに端を発しているのではないかと思うのです。沖縄の子どもたちは、とてもよく面倒を見てもらっています」
映画の上映中、マロニーは、沖縄の人たちがタ践する「大らかな子育て」について、たびたび口にしています。そして、沖縄の母親たちがタ践するおおらかな子育てこそが、精神的な安定を築き上げているのではないかという結論に達しました。
沖縄で生まれた赤ちゃんは、お腹がすいたときや、恐怖を感じたとき、いつでもおっぱいを与えられます。怖がっている赤ちゃんにおっぱいを与えるのは、じつは大切なことなのです。赤ちゃんの気持ちを落ち着かせ、不安をやわらげることができるからです。赤ちゃんはすっかり安心し、自分は母親の力で守られている、と試ゥ信を持つことができます。そうしたことから、精神は健康的に円熟していくものなのです。
生まれたばかりのこの時期、恐怖がなかなかぬぐい去れないと、感情的な発達がゆがめられてしまうことがあります。怖いのにいつまでも放っておかれた子どもは、外の世界にさらに不安を感じるようになり、安心できず、母親の力で守られているという試自信を失ってしまいます。そのため、神経質な人間へと成長してしまいます。
沖縄では赤ちゃんが生まれると、お母さんがかかりきりになります。「赤ちゃんは生まれて1時間もすればおっぱいを与えられます。お腹を満たすためだけでなく、恐怖を鎮めるためでもあります。それが2歳になるまでつづきます」。お母さんは、「初期の欲求不満」を防ぐためなら、あらゆる努力を惜しみません。なぜそこまでするのかといえば、授乳期の赤ちゃんが欲求不満をおぼえると、さまざまな胃腸障害につながる危険があると考えられているからです。たとえば消化性凋∞や過敏性大腸症候群、そして下痢や便秘など。だからお母さんたちは、めったに赤ちゃんのもとを離れません。
ふつう、子どもが2歳になると、お姉さんが世話を引きつぎます。お姉さんがいない場合は、お兄さんにその責任がゆだねられます。5歳になると、子どもはもう精神的に成熟したと見なされ、学校に入る準備をはじめます。学校へ行くことにたいして抵抗する子どもは、いたとしてもごくわずかです。学校へは、それまで世話をしてくれたお姉さんやお兄さんと一緒に行くのですから。
マロニーは、沖縄ではめったに体罰を目にしなかったと語っています。たとえば子どもが貴重な品物をこわしてしまったとしても、そんな幼い子どもの手の届くところに貴重品をおいていたほうが悪い、とお母さんは自分を責めるのです。
1946年にこのふたりの先見の明のある医師が発見したもの――それは、いまわたしたちが、「アタッチメント・ペアレンティング」と呼ぶものの本ソだったのです。アタッチメント・ペアレンティングとは、つまり敏感に、そして思いやりをもって、子どもたちの要望に応える子育てです。
この映画の公開と同じころ、ジョン・ボールビーをはじめとする研究チームによってアタッチメント(愛着)についての研究が世に紹介されるようになりました。そしてマロニー医師とキャミサ医師は、自分たちが偶然、人類文明のかなめ石を発見していたことに気づいたのです。沖縄で学んだことは、アタッチメント(愛着)の研究から得られた結果と一致します。
子どもを両親の手できちんと世話し、導けば、その子の未来は開け、強い精神力が培われるということが、わかったのです。マロニー医師はこう語っています。
「わたしが沖縄で目にしたことに、きちんとした根拠があるのなら、いずれ、世界平和を保つのも夢ではなくなるかもしれません」
リサ・パーカー:アタッチメント・ペアレンティング・インターナショナル事務局長 Lysa Parker, M.S. : API Founder &
Executive Director
カリフォルニア州とテネシー州の中学校で特殊教育の教師として20年間つとめたのち、1994年に、バーバラ・ニコルソンとともに、APIを設立。ラ・レーチェ・リーグのボランティアとして、母乳育児のサポートグループのリーダーを5年間つとめた経験がある。
Lysa Parker is Executive Director of Attachment Parenting International, which
she co-founded with Barbara Nicholson in 1994. Parker holds a masters degree in
Human Development and Family Studies. She has devoted her career to promoting
the philosophy of Attachment Parenting around the world. Parker brings many
years of experience as an educator, mother and advocate to her work with API.
Parker worked with multiple-handicapped and learning disabled children for
twenty years as a special education teacher in Alabama, California and
Tennessee. As a volunteer with La Leche League International for five years,
Parker facilitated support group meetings and consulted with mothers about
breastfeeding. She is the mother of two sons and a step-daughter, as well as the
grandmother of twins. 資料: Dillaway, Newton. The Lesson of Okinawa. Wakefield,
MA:Montrose Press, 1947. Available from The New York Public Library, Call Number
JLC 78-304 Psychiatry. Vol. 8, No. 4, November 1945, Psychiatry Quarterly,
October 1946.
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09:54
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米子育て支援NPO・APIのリサ・パーカーさん達が来日します。
来年6月、自然育児友の会が参加する愛知万博・地球市民村では、各NPOがそれぞれの活動分野において、海外のパートナーとの交流を行ないます。
当会のパートナーは、アメリカの子育て支援NPOアタッチメント・ペアレンティング・インターナショナル(API)という、母乳支援、自然なお産についての情報をお母さん同士で伝えあってきた等、友の会の活動内容と非常に通じるところが多いNPOです。お産・母乳育児支援をメインフィールドとする海外のNPOの中から、互いのスタッフ同士が交流することによって色々学ぶ点が多いNPOという視点からパートナーシップを組ませていただくことになりました。
当会の会員さんの中には、すでにスリングを愛用している方が多いので、スリングが広がる背景にあるアタッチメント・ペアレンティングという育児法の名前はお聞きになったことがある方が多いのではないかと思います。
Dr.シアーズの『ベビーブック』が、育児書としては、日本でもベストセラーになっていますが、シアーズ博士が説いているのも、まさにアタッチメントペアレンティングです。とても、簡単に説明してしまえば、
人生のスタート時である赤ちゃんの時に、まわりの大人としっかりとした信頼関係=絆を育むことができれば、心身ともに健やかな子どもに育っていく基礎をつくりあげることができる、という考え方です。その具体的な方法に、母乳育児であったり、スリングを使用して赤ちゃんを常にお母さんの体から離さない、といったことがあるわけです。
これから会報等でも、アタッチメント・ペアレンティングについて、わかりやすくご説明していく予定ですが、当会が、そうしたアタッチメント・ペアレンティングの考え方を、新しい素晴らしい育児法として伝える、というつもりはありません。日本、アメリカと国は異なりますが、母親同士、母乳育児やより自然な育児を選んでくると、幼い子どもを育てていくときに大切にしたいことは、やはりそんなに変わらない、そんなことを私たちは再確認しているところです。
地球市民村の準備を進めているなかで、APIのスタッフと、友の会のスタッフの交流を来年6月に万博の会場の中で行うだけではなくて、やはりその前にもスタッフ間での交流等を行いたいなぁと考えるようになって、この夏、国際交流基金の助成申請に思い切って申請してみたところ、助成金がいただけると連絡がありました。
会員専用メーリングリスト、イベント情報のメルマガ「おでかけ日和」でもその日程等はご紹介していきますが、「アタッチメントペアレンティングについてのわかりやすい講座」「子育て支援NPOの運営・リーダー養成」等について、会員の方に限らず、一般の方も広く参加できる場を設定する予定です。
関心のある方は、事務局の方にご連絡ください。11月頭の予定です。
リサさんは、障害児教育の現場で働きながら、ラ・レーチェリーグのリーダーとして活動した後、母乳育児を卒業した親子のために必要な子育て支援を行いたいと、96年にAPIを設立。アメリカ国内には現在、約80のAPIリーダーが主宰するアタッチメントペアレンティングのピアサポートの会があるそうです。
アタッチメントペアレンティングそのものについてだけでなく、そうしたお母さんたちの居場所、サポートの場の運営について関心のある会員の方にとってもきっと今回のリサさん達との交流は役立てていただけるのではと考えています。
関心のあるかたはどうぞご遠慮なく
内田までご連絡ください。
uchida@shizen-ikuji.org
Posted by ikuji at
15:48
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