子どもと一緒に外へ出よう!~成田あす香

成田あす香
自然育児友の会会報 2011年はる号より

 「子どもの頃の楽しかった遊びの思い出を一つ、絵日記にして書いてみてください」これは、プレーリーダーの竹内紀子さんの講演会でのワークの一つです。私が書いたのは、自宅の団地の周りに広がる土手と雑木林で遊んだ時のこと。この土手、フェンスに囲まれているので、本当は入ってはいけない場所なのですが、それを乗り越え、びわや桑の実を食べたり、大きな木の根を秘密基地にしたり、雑木林を散歩したりするのが、大好きでした。他の受講者の方の発表も、外で遊んだ思い出、危ないことやいけないことをした思い出が多く、それは生き生きと話していました。どこの講演会でも、そういう内容が多いのだそうです。みなさんはどうでしたか?
 子どもにどんな遊びをしてほしいかを考えた時、私が思い描いたのは絵日記に書いたような風景です。第一子が六ヶ月の頃、新居に選んだ東京都荒川区のマンション、決め手の一つが徒歩十分の場所に位置する都立尾久の原公園でした。ここは、放置されていた工場跡地に湿地ができ、川辺の植物や虫や鳥が戻り、絶滅危惧種の植物まで見られる自然の宝庫となり、自然保護と憩いの場として公園化されたところです。広い原っぱと池だけがあり、こんなところに、網を持ってトンボやザリガニなど取りに行ったら楽しいだろうな、とわくわくしました。そして、さくら・さくらんぼ保育のドキュメンタリー「さくらんぼ坊や」を見て、自然の中で自由に遊ぶことが子どもにとってどんなに大事なことであるかを知り、尾久の原公園で「自主保育おむすび」を立ち上げ、長男が小学校に入学するまでの五年弱を、原っぱで遊んで過ごしました。
 一歳半の長子三名で外遊びを始めた当初は、どの子もやりたいことがバラバラ、すぐに抱っこやおっぱいで、何のために集まったのだろうと思うほどでした。しかし、子どもたちが成長するにつれて、草花ままごと・ザリガニ釣り・木登りなど、自然の中で仲間と遊ぶことができるようになり、気がつけば大人の存在は、安全を見守るためだけになっていました。
 オリンピック青少年記念センターで開かれた「ここからミーティング」のときの出来事です。会場準備の時間、私の夫とぱおぞうさん夫婦*が作業に専念できるよう、私は子どもたちを外で遊ばせていました。最初はなにもない場所でどうしたらよいのか分からず、散歩に誘ったりしても気が乗らなかったのですが、国旗掲揚台の下にシロツメクサが生えているのを見つけたとたん、土と草と国旗掲揚台を使ってのままごとが始まりました。彼らが小さな頃からの外遊びで豊かな創造力を育んできたこと、ほんの少しの自由になる自然があれば子どもは遊ぶ力を持っていることを実感しました。


イラスト・大野まみ

 ところで皆みなん、小さい子の外遊びはどのくらいからできると思いますか? 私は長男のとき、歩けないと外では遊べないと思っていました。でも外に出すのは大事だと思い、おんぶやベビーカーでぐるぐるとお散歩をしていました。もちろん、これも大事ですけれど、実は赤ちゃんでも、大地に下ろしてあげると、その子その時なりの外遊びができるのです。自主保育の弟妹分たちが、それを教えてくれました。ハイハイの頃に自主保育を始めたぱおぞうさんの次女は、足場の悪い土の斜面も、前向きハイハイと後ろ向きハイハイを使い分けて大きい子たちについて行き、誰よりも公園を満喫しました。産まれた時から自主保育の弟妹たち。ねんねの赤ちゃんも、シートの上に寝かせてあげると、土の匂いを感じ、青空や木漏れ日を見ることができます。寝返りやずり這いができるようになると、興味がある所に自分で移動し、気がつけば石や葉っぱをしっかりと握っています。おすわりができるようになると母はだいぶ楽で、おんぶで兄姉についていき、遊びが始まった所に下ろしてあげれば、兄姉の遊びを見たり、土や草に触れたりして、しっかり遊んでくれます。ときどき泥や草を食べたり、池の水を飲んだりもしていますが、意外とお腹も壊さず、平気なものでした。赤ちゃんからこんなに外で遊べるなんて、長男の時には思いも寄らなかったことです。そして、午前中に外でたくさん遊ばせると、子どもがよく寝てくれます。毎日外に連れて行くのは大変そうに思われますが、昼寝をしっかりするし、夜も早く寝てくれるので、リズムが整えやすく、かえって子育ては楽になりました。
 子どもたちと自然の中で過ごした時間は、なにより私にとって心地よいものでした。長男がまだ遊べなかった頃も、抱っこしながら木々のざわめきや鳥の声を聞くと、心の疲れが癒されました。自然の中で毎日を過ごすうちに、いつのまにか意識しなくても、四季の移り変わりを感じ、自然の恵みのありがたさを感じる自分がいました。自然は、子どもだけでなく、大人も育ててくれていたのです。そのように過ごした結果、我が家では移住という道に進みましたが、都会でも自然は探せばあります。庭の草木や街路樹は、花が咲き実がなり、鳥や虫がきます。空を見れば、四季折々の青色、雲の形。晴れ、曇り、雨。風。太陽の光。月の満ち欠け。ほんの少し気をつけてみると、毎日感じることが違います。子どもたちは、それらを敏感に感じ、きっとあなたに伝えてくれます。自然は、あなたと子どもが共に過ごす時間を楽しく豊かにしてくれますよ。さあ、赤ちゃんと、子どもと一緒に外へ出よう!

*ぱおぞうさん夫婦:会員で自主保育仲間。ここからミーティングで布おむつ担当として大活躍しています。

■成田あす香 プロフィール

自然育児友の会会員。東京より宮崎県綾町へ移住。脱サラし新米百姓となった夫、小学校一年生の男の子、二歳の女の子の四人家族。密室育児の子育てストレスを救ってくれた子育てサロン、家族を育ててくれた野外自主保育の経験から、山の中の自宅の庭を利用した野外型子育てサロン「青空サロンもりのね」をオープン。宮崎お茶会も開催。
ウェブサイト:http://morinone.jimdo.com/