2012年あき号【特集】東と西をつなぐお母さん
あき号の特集は、
「東と西をつなぐお母さん~それぞれの空の下で想い、支えて。」です。
今回の特集は、東日本大震災と、それに伴う原発事故をきっかけに、さまざまな立場や家族の在り方を強いられ、または選択し、引き受けてきたお母さんや、遠方から支えたい、今いる場所でできることを支援したいというお母さんにお話を聞いてきました。
さまざまな立場……。それは、家族が生活していく場所とどう向き合うかによってたくさんの選択肢が今もなお存在しているのだと思います。選択する余地すらない場合もたくさんあったでしょう。
そして時には自分と他者とのあいだに、今までの関係性とは違った距離感をうんだこともあったかもしれません。今までいた場所で、今いる場所で、新たな場所で。
私は去年の夏から「母子避難」というかたちで、新しい土地である岡山県で生活をはじめました。夫は現在も以前の場所にいます。私自身も多くの迷いの中に今もいます。そしてまわりには同じような思いのお母さんたちがたくさんいます。
そして現在私は、保養・避難移住などの受け入れ支援へ関わる活動を中心に続けています。それ故、さまざまな立場のお母さんたちに、いろいろな土地で会える機会を得ることができました。お母さんたちの発する、たくさんの本当の気持ち、小さいけれど確実にある声に、一人ひとり耳をすませることの大切さを知る尊い機会でした。その声を、さまざまな立場にいる多くのお母さんたちと共有したいとずっと思っていました。
今回おつたえるするのは、「私」というちいさな輪から見えたこと、聞こえたことなのですが、ここだけに留まらないのでは、と感じています。日本のあちこちから聞こえてくるお母さんの声に耳を澄ますと、岡山だけが全く特別ではないと気づきました。北のほう、東のほう、そして西のほう、南のほうでも震災の大きな影響を受けて今もなおたくさんの思いが渦巻いていることを、みなさんもご自身の場から肌身で感じているのではないでしょうか。
象徴的に「西と東をつなぐ」と表現しましたが、「私」というとてもパーソナルな視点から見えてきたことが、きっと皆さんと共有できるところにつながるのではないだろうかという思いもあり、今回の特集に向き合いました。
次への一歩となる礎となりますよう、願いを込めて。
はっとりいくよ